CAPS編集室
#6 eスポーツ実業団 Team UNITEの始まりと、世界への挑戦
〜新天地アカツキから、仲間と目指す世界一のチーム〜
Team UNITEと共に走り出したプロゲーマーの今までとこれからについてお話を伺います!

【人物紹介】
[Team UNITE:森山 真秀]
島根県出身。2017年からマジック: ザ・ギャザリングをプレイし、2018年には日本選手権 優勝および、MAGICワールドカップ2018でのベスト8入りを果たす。2020年4月よりTeam UNITE所属選手としてアカツキへ入社。
愛する地元から東京へ。Team UNITEとの出会い。
──アカツキ入社前は、仕事をしながら選手活動をしていたと伺いました。
はい。地元の金融機関で新卒から5年間勤めていて、いわゆる為替決済と言われるような業務を中心に担当していました。
マジック: ザ・ギャザリング(以下MTG)を始めたのは3年半ほど前からです。
会社員としてフルタイムで働き、仕事が終わって帰宅してからMTGの練習を……という生活をしていました。
深夜から3時か4時まで……といったスケジュールで練習時間を確保していて、体力的にはかなりしんどい部分がありました(笑)
ただ私自身はこの仕事がとても好きでしたし、ありがたいことに職場の方々も僕が競技でカードゲームをしていることを理解してくださって、たいへんよくしていただいていました。
なので、「仕事と選手を両立する生活」は苦ではありませんでしたね。
──いずれはプロ選手としてやっていきたいという思いはありましたか?
2018年に日本選手権で優勝したタイミングから、少しずつですがプロの道を意識しはじめてはいました。
そもそも私がMTGをはじめたのは、長年やってきた別のカードゲームである程度の結果を残せるようになってきて「もっとレベルの高いところでチャレンジしたい」と思ったことがきっかけでした。
そこでカードゲームの最高峰とも言われてるMTGに転向して、国内での優勝やMAGICワールドカップでのベスト8入りを果たすことができ、率直に「さらに上にいきたい」と思うようになりました。
しかし実際のところ日本のeスポーツ環境はここ数年で変わってきてはいるものの、プロ制度みたいなものはまだまだ整っていません。
なので実際のところあまり現実的ではないなと。ぼんやりと思い描くくらいのレベルでしたね。
──アカツキ・Team UNITEとの出会いを教えてください。
2019年11月に名古屋で行われた大会で、Team UNITEのオーナーである渡辺さんから話を聞いたのが最初です。
アカツキで勤務されているMTGプレイヤーの知り合いから「会って欲しい人がいる」と連絡をいただいたんです。当日いざお会いしてみたら、当時の渡辺さんは髪がかなり派手な色で、ちょっとびっくりしたのを覚えています(笑)
試合と試合の間だったので実際に話ができたのは非常に短時間でしたが、その時渡辺さんから直接Team UNITEの構想を伺いました。
──Team UNITEへの挑戦はすぐに決意できましたか?
いえ、全然(笑)
前の職場にとても思い入れがあったので、すぐに辞めようとはなれませんでした。
それに私はカード以外のジャンルではほとんどゲームで遊んだ経験がなく、ソーシャルゲームも全然触ったことがなかったので、完全に未経験の業界へ転職することになります。
東京で働いた経験もありませんでしたし、知らない土地・初めての仕事でやっていけるのか?と。
なかなか決心できずに2ヶ月くらい悩みました。
──決断された決め手はなんだったのでしょうか。
渡辺さんの情熱に共感したことが大きな理由の1つです。
渡辺さんは初めて会った時から「Team UNITEを世界一のチームにしたい!」と話していて、非常にアツい方だなと思っていました。
大会の合間に一度お会いした後も何回かオンラインでの面談をしてもらって、アカツキやTeam UNITEのことについてはもちろん、eスポーツ業界の良いところ・悪いところについても真摯に話をしてくれました。
具体的にコミュニーケーションを取っていく中で、最終的に「この人についていこう」と思えたし、自分がアカツキのTeam UNITEでやりたいことも見えてきたので、オファーをお受けしようと決断しました。
前の職場の方々からも「まだまだ若いんだから挑戦してみなよ!」と背中を押していただけて、本当にありがたかったです。
CAPSとTeam UNITE、相互作用を活かしながら働く。
──会社のサポートを受けながらの選手活動は率直にいかがでしょうか?
環境の面では練習時間が確保できることに大きなメリットを感じます。
以前は仕事を終えて帰宅して、そのあと深夜から朝方まで練習というスケジュールでやるしかなかったのでどうしても体力的にハードでした。
今は勤務時間の中で練習ができるので、体調管理をしながら無理のないスケジュールで練習ができています。
具体的には15時から19時までの4時間、毎日の勤務時間の半分を丸々Team UNITEの活動時間に当てています。終業後のプライベートの時間も含めると、練習に割ける時間が単純に長くなりましたね。
また、MTGの大会は年に何度か開催されていて、主に海外で行われています。移動などを含めると1つの大会で1週間ほど休みが必要になってくるので、働きながら休暇を調整するのはやはり大変でした。
今は感染症の影響で大会がオンライン開催になっている状況ではありますが、いずれまた世界各地で大会が開催されるようになった際は業務の一部として出張の扱いとなります。こういった部分でも個人の負担が軽減するので、より競技に打ち込める環境になったなと思っています。
──実業団選手として活動することにプレッシャーは感じませんか?
正直あります(笑)もちろん良い意味ですが。
これからアカツキでは、仕事の一環としてMTGをやっていくことになります。
私自身もともと競技志向が強い方だったので結果を残したいという思いに変わりはないですが、会社の看板を背負っていることは常に自覚する必要がありますし、Team UNITEを運営するうえでは社内外で多くの人が力を貸してくださっています。
アカツキに入社する以前も個人でやる以外にある別の企業からスポンサーいただいていたんですけど、今はその時よりも様々な形でTeam UNITEを応援してくれる人が社内にたくさんいて目に見えているので。もっと頑張らないとなあと感じています。
──CAPSとしてのお仕事について教えてください。
10時から15時までのうち休憩時間を除いた4時間でゲーム開発に関わる業務をしています。
私が担当しているのは、簡単に説明するとゲーム内に出てくるキャラクターの性能が強すぎたり弱すぎたり、原作の設定から大きく乖離してしまっていないかなどを検証するバランサーというお仕事です。
先ほども言った通り、私はゲーム業界未経験でソーシャルゲームをプレイした経験もなかったので最初は不安があったのですが、先輩たちが暖かく迎え入れてくれました。
実務的な部分だけではなくて、どういう風に知識をつけていけばいいかというようなSTEPを「こういう風にしたらいいよ」と教えてくれる方がたくさんいて、勉強させていただくことがとても多いです。
──バランサーの業務は楽しめていますか?
私自身もともと仕事が好きな人間なので、すごく楽しくやらせていただいています。
ビジネスマンとしてのキャリアも積みながらプレイヤーとしてスキルも磨いて続けていきたいという思いがありましたので、仕事とMTGを並行してどちらにも打ち込める今の環境は自分にとってかなり理想的です。
所属プロジェクトのゲームも業務で関わるようになってから初めてプレイしましたが、今では1プレイヤーとして楽しく遊んでいます(笑)
──CAPSの業務がTeam UNITEの活動に活きることはありますか?
業務で担当しているプロジェクトとMTG、当然ゲーム性やルールなんかは違うんですが、例えば能力と能力の組み合わせとかゲームの展開だとかで似てるなと感じる部分もあります。
これまでMTGで得た知識を業務に活かせることもあれば、逆に業務の中から気づきを得てMTGに活かせることもたくさんあって、うまいこと相互作用が出ていると思います。
──アカツキという会社へのイメージは入社前と後では変わりましたか?
私は島根県出身なんですが、アカツキの創業者である塩田元規さんが同じ島根の出身で、実は私は塩田さんと同じ高校の出身なんです。なので地元出身の先輩が作った大企業というイメージがありました。
アカツキのことは入社前に塩田さんの著書を読んだりして予習したんですが、本を読んでイメージしていた以上にファミリー感がある会社だなと思いました。
──Team UNITEのメンバーはどんな方たちでしょうか?
私はMTGを始めてまだ3年半ほどなので、同じくTeam UNITEに所属している井上さんやコーチの片山さんはキャリア的に大先輩なんです。
でもいい意味でそうとは思えないというか、変な距離感とかは全然感じないですね。お2人ともすごく話がしやすい雰囲気を作ってくれる方たちで。
技術的な面の意見交換だけではなく、選手としてやっていく上でメンタル面の相談にも乗ってもらえています。
こういう雰囲気もアカツキの社風というか、いいところなんだろうなと感じています。

eスポーツに明るい未来を。
Team UNITEと共に成し遂げたい夢。
──Team UNITEのこれからの活動について教えてください。
8月にTeam UNITEの立ち上げを正式に発表させていただいて、改めてチームとしてのスタート地点に立つことができました。
これから選手として大会に出場していくのは大前提ですが、eスポーツの魅力を広めていくこともTeam UNITEの大きなミッションであると考えています。
MTGは世界的に競技人口の多いカードゲームですが一般的な認知度でいうとまだまだ低くて。いくら大会が盛り上がっていてもそれを見ているのって既存のプレイヤーか、すでに興味を持っている人だけだったりします。
身も蓋もない言い方をしてしまえば「一部で盛り上がってるオタクの遊び」みたいな認識の方も多いんじゃないかなと(笑)
そういったイメージを払拭して、MTGの楽しさをもっと世間に届けていくための活動をしていきたいです。
具体的にはまだ検討している段階ですが、例えば動画のコンテンツを用意するとか。
「カードゲームをこれから始めたい」「全くMTGを知らない」って人にも興味を持ってもらって、どんどん間口を広げて巻き込んでいきたいですね。
──現在(2020年9月時点)Team UNITEは所属選手の募集をしていますが、どのような人にきて欲しいと思いますか?
競技と仕事、どちらにも情熱を持てる方に来ていただきたいです。
今の競技レベルは必ずしも重要視してはいません。さすがに全くの未経験だと難しいんですが、練習すれば上手くなっていくものなので、そこは一緒に頑張っていけたらいいなと。
ですので一定の知識や実力さえあればそれがまだ花開いていなかったとしても、Team UNITEをこれから牽引していくぞというような情熱のある人に来て欲しいです。
かつ、CAPSの仕事に対してもやる気がある人がTeam UNITEにはマッチしているのかなと思います。どちらかに比重が偏りすぎていると必ずどこかで行き詰まって、辛くなってしまうんじゃないかなと思うので。
──CAPSからTeam UNITEへのキャリアチェンジを目指すことも可能ですか?
面白いですね!可能性はゼロではないと思います。
残念ながら現時点では明確にそういう入り口を用意している訳ではないので、必ず可能ですとは言えないんですが。アカツキにはMTGのサークルなんかもありますから、新しくMTGの楽しさを知ってくれた人がゆくゆくはTeam UNITEの選手になってくれるようなことがあったらとても嬉しいですね。
──森山さんが今後アカツキ・Team UNITEで成し遂げたいことや目標を教えてください。
やはりMTGで世界一のタイトルを取りたいです。
長期的な目標としては、プレイヤーとして長く現役であり続けたいという思いももちろんありますが、いつか競技から引退した後もコーチや指導者というような立場でeスポーツやカードゲームに関わっていけたらと思っています。
Team UNITEはまさに始まったばかりです。これから人も増えていくかと思うので、そのチームとしてもやはり世界一を目指していきたいです。eスポーツといえばTeam UNITEだよねって繋げてもらえるようなチームを作りたいなと。
先ほども言ったような、eスポーツ全体に対するイメージを変えていくだとか、たくさんの方にeスポーツに興味を持ってもらうだとか、そういう観点から業界へも貢献していけたらいいなと思っています。
選手として、チームとして、組織の一員としてできることってすごくたくさんあると思います。
例えば大会でいい結果を残すというのもその1つだと思いますが、Team UNITEに関わってくれている方々や応援してくださっている方々へこれから何らかの形で恩返ししていきたいですね。
次回は、エンジニアからCAPSへ。Team UNITEで新たなチャレンジをスタートしたもう一人の所属選手にお話を伺います!
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