CAPS編集室
#7 働きながらプロゲーマーへ、eスポーツの常識を変える挑戦
〜Team UNITEだから実現できた理想の人生〜
エンジニアからプロゲーマーへと転身したTeam UNITEのもう一人の選手にお話を伺います!

【人物紹介】
[Team UNITE/井上 徹]
福岡県出身。小学生の頃マジック:ザ・ギャザリングと出会い、その後世界を舞台に活躍するようになる。数々の世界大会で入賞を経験し、2020年4月よりTeam UNITE所属選手としてアカツキへ入社。
夢と現実の葛藤、そしてTeam UNITEとの出会い
──マジック: ザ・ギャザリング(以下MTG)との出会いを教えてください。
小学生の頃に、近所のおもちゃ屋で周りの子が遊んでいるのをみてMTGをはじめました。
初めは、普通に友達と遊ぶ趣味でしたが、「MTGの大会で勝ったらタダで海外に行ける」というのを聞いてから、「海外行けるなら、がっつりやってみようかな」と集中してやりはじめました(笑)
それから実際に、高校生のときに初めて海外に行く権利をもらえたり、大学生になってからは1年に1度ぐらいは世界大会に出られるようになりました。
──MTGをプロ選手になって続けていくことは考えていましたか?
やはり「ゲーム一本で食べていく」ということが、どうしても厳しいという現実を知っていたので、考えてなかったです。
就職時期には、今まで一緒にMTGをやっていた友達が東京に行ってしまったこともあり、1年〜2年くらいMTGから離れてしまっていました。
──それから、なぜMTGに復帰することなったのでしょう?
ネット記事をみて、友達が大会で勝ち進んでいることを知ってから試合のライブ中継を見たんです。
その時に「凄いなこいつ」と思うのと同時に、再びやる気に火がつきました。
それから本格的に復帰し始めて、大体1年ほど経った頃にはまた海外に行けるようになりました。
──Team UNITEに入る前は、どんなことをされていたのでしょうか?
システム開発会社で、エンジニアとして働いていました。
業務は、プログラミングです。
そのころは、特に実業団に入って活動していたわけではなくて、普通に会社で働きながらMTGを趣味としてやっていました。
──働きながら、MTGも両立してやっていくのは大変でしたか?
そうですね。試合で海外に行くと、どうしても仕事を一週間ぐらい休まなければいけないので、会社に頭を下げて頼んでいました。
勝てるようになるまでは、年に2~3回ほど海外に行く程度だったのですが、どんどん頻度が増えていって、最終的には月に1回ほど海外に行くようになっていました。
その頃になると、会社とMTGの両立がかなりキツくなっていて、気持ちもどちらかというと仕事よりもMTGをもっとやりたい方に寄っていたんですよね。
なので、会社に「MTGに力をいれたいです」という話をして、だんだんと仕事を減らしてもらっていました。
最初はもちろん週5で働いていましたが、交渉して最終的には、会社に週3で出社して他は、MTGに時間を費やすという生活を3年ほど続けていました。
──Team UNITEに入ることになった経緯を教えてください。
もともと高校生の頃から付き合いのある友達がアカツキで働いていて、その友達経由でTeam UNITEのオーナーである渡辺さんに声をかけていただきました。
その頃は、本当にずっと仕事とMTGと、どっちつかずの生活に悩んでいたんですよね。
MTGでもっと勝つためには、今の仕事を続けながらでは厳しいし、いっそのこと仕事をやめた方がいいのかなとも思っていて……。
ちょうど、そのタイミングでTeam UNITEへの誘いを受けたので、「最高じゃん!これは100%いこう!」という気持ちになりました(笑)
渡辺さんにも「やります!」と即答しました。
──Team UNITEのどういったところが魅力に感じましたか?
まず何より、MTGがもっとできるようになることです。
エンジニアとして働いていた頃は、平日だと仕事が終わってから、大体練習時間が4時間とれたらいい方でした。
Team UNITEは、業務時間が4時間、練習時間が4時間なので、勤務が終わった後に練習すると、1日8時間を練習時間として確保できるんです。
あとは、仕事とMTGが両立してできるということも大きかったですね。
MTGはガッツリやりたかったんですが、生活は仕事に頼っていきたいと思って悩んでいたので、仕事を続けていくことも僕にとって譲れない条件でした。
なので本当にTeam UNITEは、完璧な自分の理想形だったんです。

アカツキで感情的に働く
──実際にアカツキに入社してみて、入社前とギャップはありましたか?
与えていただいた環境は、事前に説明を受けたとおりだったので、そこに対しては特にはなかったです。不満とかも全然なくて、むしろ「良すぎて、すごいなぁ」という状態でした(笑)
あとは、アカツキでは感情的にみんなが動いているので、そういう部分ではギャップが凄かったですね。
前の職場は、働いている時の「仕事感」というか「仕事だからやっている」という気持ちを持っている人が多かったので、こういう働き方があるんだと驚きました。
──「みんなが感情的に働いている」というのは、どういう時に感じますか?
前の職場だと、「はい、わかりました」「はい、そうします」みたいな感じで言われたまま動いていて、仕事が流れ作業になっていました。
今は全然違くて、プロジェクトのメンバーみんなが「こうしたい」という意見をはっきり持って働いているんです。
「ゲームが好きで、もっと良くしたいからこうしよう」とか、「自分はこうした方がいいと思う」という意見を、みんなでぶつけながら作っていってるので、そういうところが感情的だなと思います。
──職場の環境が変わったことで、井上さん自身にも変化はありましたか?
僕も頑張って自分の意見を出そうとしていますが、なかなかまだついていけてない部分があります。
皆すごいなと思いつつ、なるべく自分の意見を出せるように頑張っています。
──バランサー業務(ゲームバランスを検証する業務)で、Team UNITEの選手活動に活かせてることはありますか?
今はまだ明確にはないですが、将来的に活かせることはあると思います。
例えば、バランサーの業務をしていると、自分の考えを言語化することを結構求められるんですよね。「なんでそう思うのか」というのをきっちり言葉で説明して、伝えないといけないんですが、もともと僕は言語化が苦手で……。
ただ、言語化することはゲームをやる上でめちゃくちゃ必要な部分だと思います。
ゲームの意見交換をするときに、きちんと自分の意見を伝えられた方がいいと思いますし、MTGのプロ選手は自分の戦略を記事にしてお金をもらったりすることもあるので。
将来的には、僕もTeam UNITEでMTGの記事を書くことがあるかもしれないので、そういう時に活かせたらいいなと思っています。
──では逆に、Team UNITEの選手活動でバランサー業務に活かせてることはありますか?
はい、あります。
MTGは、新しいカードが大体3ヶ月毎に出るのですが、全部使って試そうとすると時間が足りなくなってしまいます。なので、ちゃんと使えるものと使えないものを、パッとみて自分で判断していかなければならないんですよね。
それってゲームのバランス検証でも一緒で、仕様をみた瞬間に「単純に弱すぎる」とか「明らかに強すぎる」という感覚のアンテナが、他の人よりかは高くなっていると思います。
「仲間と共に勝つ」チームで目指す未来
──Team UNITEに入り、実業団選手として活動することにプレッシャーはありますか?
入社してから、本当にたくさんの方がTeam UNITEに関わっているということを知りました。
特に、Team UNITEの設立を発表するにあたって、PRチームの方々が色々と外部に広める活動をしてくれているところを目の当たりにすると、プレッシャーを感じますね(笑)
でも、それはいい意味のプレッシャーなので、「頑張ろう!」というモチベーションに繋がってます。今は、皆さんの頑張りに対して、きっちり結果で返したいなという想いが強いです。
──個人選手ではなく、チームとして活動することに何かメリットはありますか?
単純に、いつでもチームメンバーの意見が聞けるのはデカいです。
一人でやっていると、どこかで行き詰まって「どうしよう」となるのですが、そうなった時に気楽に聞けるチームメンバーが近くにいるのは心強いですね。
また片山さんは、Team UNITEのコーチでもあり、所属しているプロジェクトの上司でもあるので、選手目線だけでなく業務も理解してくれているので、働きやすさはあります。
──では、チームメンバーやコーチの距離感は近いですか?
近いですね。
片山さんに関しては、いい意味で上司っぽくないと言いますか、ものすごく近い存在に感じられています。また、MTGのプレイヤー歴も僕より長い期間やってこられた方なので、色々と参考になります。
もう一人の選手の森山くんは、「一緒に頑張ろう」とお互いを高め合える関係だと思います。
MTGは個人競技なのですが、あんまりライバルだとかは思ったことがなくて「一緒に勝ちたいな」という想いが強いです。
──今後、Team UNITEに入りたいと思っている方に向けて、伝えたいことはありますか?
生活のベースを仕事におきつつ、ゲームに対して本気で全力でぶつかりたいという人に、Team UNITEはピッタリだと思います!
だいたい僕の周りは2パターンしかいなくて、本気でMTGに取り組みたくて仕事を辞めていくか、仕事をどうしても離れられないからMTGの方を縮小していくか。という意味では、Team UNITEはちょうど中間に当たると思います。
こういう風に働きながらでも、好きなことに全力投球できる環境があるんだということを知って欲しいです。
──今後、Team UNITEで成し遂げたいことがあれば教えてください。
やっぱり世界大会で勝って、タイトルを取るなど目に見える結果がほしいなというのが一番にあります。
僕のように、プロとして活動していきたいけど、ゲームだけで生活していくことに不安がある人って結構いると思うんですよね。そういう人たちに対して、僕たちが活躍することによって「こういう道があるんだ」ということが示せたらいいなと思います。
また、僕たちが勝ち上がっていくことでアカツキだけではなく、他の会社も「Team UNITEと同じことやろう」と思ってもらうきっかけになるかもしれないですし。
そういう意味では、今後参考にされるようなチームになりたいですね。

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