• CAPS編集室

#11 バランス検証から、ゲームに対する偏見を変える

0からチームを立ち上げた、バランス検証チームリーダーの挑戦


アカツキのバランス検証における第一人者に、バランス検証立ち上げに至る経緯や、今後の展望を伺いました!

【人物紹介】

[バランス検証チームリーダー/片山 英典]

地元の製造業勤務から心機一転、ゲーム業界に転職することを決意。

2017年7月にアカツキへ入社、CAPSチームに所属。その後、大型タイトルのバランス検証チームを立ち上げ、現在もリーダーを務める。



ゲームに対する偏見と葛藤


──アカツキ入社前はどんなことをされていましたか?


ゲーム業界と全然関係ない製造業の現場で、機械操作を行っていました。

怪我をすることもある職業だったので、気をつけながら「安全」と「品質」に向けて取り組んでいました。

──なぜゲーム業界に入ろうと思ったのでしょうか?


もともと僕はゲームが好きで、ずっと「ゲームと共に生きる」という生き方をしてきました。

3歳ぐらいの頃から、叔母さんの家に通って、置いてあるファミコンでゲームを遊んでいるみたいな感じで、物心ついた頃からゲームをしていました。

また、マジック:ザ・ギャザリングというゲームでは、世界大会にでたりもしてました。

そのくらいゲームが好きだったので、元々ゲームに携わりたいという想いがずっとあったんですよね。

ただ、生きていくためにはお金が必要ということもあり、前職に就職して働きはじめました。

前職は、地元の中小企業だったのですが、ゲームに対する偏見の目が残っていて、休憩中にスマホゲームで遊んでいたら、「ゲームなんかして」みたいなことを結構言われたりしたんです。「そんなことする暇があったら、もっと別のことやりなさい」「ゲームとかいつまでも子供じゃないんだから」というようなことを言われるので、”ゲームが好き”ということを隠して生きていかなければいけないのが、結構ストレスだったんですよね。

「もっとゲームを認めてもらえるようなところにいきたい」とぼんやり思っていたときに、元々アカツキで働いていた友達に声をかけてもらったことをきっかけに、アカツキを知りました。

──アカツキに入社を決めた経緯や理由を教えてください。

友達がうまく段取りしてくれたこともあり、まだ前職を辞めるというのを決めてない段階で、CAPSのリーダーの安納さんに直接お話させていただける機会をつくってもらいました。

採用面接を受ける前だったのですが、その時にアカツキがどんなところなのかというのをお話し頂く中で、「やっぱり僕はゲームに携わりたい」という想いがどんどん強くなりました。

なので、その場で「面接をお願いします」と言って、面接していただきました。

その後、無事に内定をいただけたので、そのままアカツキに転職しました。

──未知の領域であるゲーム業界に踏み出す怖さはなかったですか?

漠然とした不安はありましたね。

転職した時には結構いい年齢だったので、「転職して本当に大丈夫なのか」というのは周りの人から言われました。

ただ、このままストレス抱えながら生きていくのと、自分の好きなことにチャレンジするのと、どっちがいいのかというのを天秤にかけた時に、「やっぱり新しいことにチャレンジしよう」と踏ん切りがつきました。

また、せっかくアカツキで働くという良いお話しをもらえたのに、ここで動かなかったら「絶対、将来後悔する」と思ったんですよね。

“何かをやったことの後悔”は仕方ないかなと思えますが、”やらなかった後悔”は後まで引きずると思ったので、未知のゲーム業界に飛び込もうと決心しました。

──未経験で入社されて、何か苦労したことはありましたか?

技術的な部分では、今までの仕事とまったく違うことをするので、効率よく上手くできないというのはありました。

しかし対人という部分では、最初に僕が配属されたプロジェクトが、かなりチームの一体感が強かったんですよね。プレイヤーの皆さんに向けて、考えて、一人一人が想いを持っていて、めちゃくちゃ絆が強い家族みたいな良いチームだったんです。

新参者として僕が入ったときに暖かく迎え入れてくれたので、本当にチームに恵まれたなと思います。

──入社当時に、将来こうなっていきたいという理想の姿はありましたか?

漠然と「ゲームを作りたい」ということぐらいしか頭になかったですね。やっぱり、どんな職業があるのかというのも知らなかったので。

今でこそ検証していても、デザインしていても、エンジニアリングをしていても、プランニングをするのも全てゲームを作っていると言えるのですが、入社当時はプランナーが色々考えて、1番ゲームを作っていると、その時の僕からは見えたんですよね。

なので、漠然とプランナーやってみたいなという想いはありました。

ただ、確固たる意思があったというよりかは、分からないながらにもという感じですね。

究極的なことを言うと、「ゲームを作りたい」しかなかったんです。


プランナーを経験して見えた景色


──検証から始まり、プランナーも少し経験されたと伺いました。

そうですね。僕は、入社して3ヶ月ぐらいのときには、検証とプランナーのどっちもやっていました(笑)

その当時、僕の携わっていたプロジェクトは、サービス終了することが決まっていたんですよね。だんだんとチームが縮小していくなかで、僕に経験積ませるという意味合いもあったのかもしれないですが、プランナーの経験をさせてもらえてすごく楽しかったです。

──具体的には、どのようなことをされていたのでしょう?

基本的にはデータの入稿をする業務ですが、途中でガチャの企画を一本持たせていただいたり、キャラ設計に関して意見出しをさせていただいたりもしました。

サービス終了間際になると、人がどんどん離れていくので僕がデータを入れて、お知らせも書いて、別の方の書いたお知らせの検証もしてという、なんかすごい状態になっていました(笑)

ただ、検証することもプランニングすることも、どっちも責任がある重要なポジションなので、任せていただけるのはすごくやりがいに繋がりましたね。

もちろん物量的には大変だったのですが、僕が色んなことをやっていて大変だというのを、周囲の方々が理解してくださっていて、みんな助けてくれるし、だからこそ僕もみんなに返したいと思って動いていました。

あと他の方よりも僕は年齢を重ねて入社している分、経験値が圧倒的に少ないと思っていたので、すごい急ピッチで色々経験を積ませてもらえて、よかったなと思います。

──配属されたプロジェクトがサービス終了した後は、どんなことをされていたのでしょう?

かなり大きな規模の別プロジェクトに異動して、運用施策の検証をしていました。

規模が大きい分、ひっきりなしに新人さんが入ってくるので、その方々に業務を教えるトレーナーも担当していました。

新人さんに教えていると、自分がちゃんと覚え切れてないことの発見につながるので、自分が教えているようで、教えられていることの方が多くて楽しかったですね。

また新しい人だからこそ見える視点もあって、「初めてやる人はここが詰まるのか、じゃあ検証シート改修しましょう」みたいな業務改善も行っていました。

──検証時やトレーナーをしている際に、プランナー経験は活かせましたか?

そうですね。プランナーさんも不具合を出したいとは思っていなくて、プレイヤーの皆さんに届けたいものがあって、その想いを乗せて色んな施策を作ってくださっているじゃないですか。

僕が検証だけずっとしていたら、そういうプランナーさんの気持ちとか、プランナーさんから見えている景色とか、見えなかったんじゃないかなと思うんですよね。

なので、検証結果でNGが出ても一方的に「ここダメです」と否定するんじゃなくて、プランナーさんがそう考えた意図や背景みたいなのを知りたくなるんです。「こうするとプレイヤー体験悪くなるけど、あえてこうしている理由はなんですか?」というような。そういうコミュニケーションをよく取るようになりました。

プランナーさんも僕の質問に対して、「ちょっと確認します」ではなくて、すぐに答えてくれるんです。質問に即答できるということは、めっちゃ仕様について考えてくださっている証明だと思います。

少なくとも僕は、ずっと検証しかしてなかったときはそういうプランナーさんのことが分からなかったんですよね。

また、こういったプランナーさんの想いや検証時のスタンスをトレーニーの子に伝える際に、自分のプランナー経験を元に話すことができて、役に立ちました。



バランス検証から世の中のゲームをもっと面白く


──片山さんが、ゲームバランス専門に確認する検証チームを立ち上げることになったきっかけを教えてください。

最初に、CAPSのリーダーの方々から「新しいプロジェクトのバランス検証チームを立ち上げるのを、片山さんにお願いしたいです」というお話をもらったのがきっかけです。

ゲームバランスの調整や検証をしたことがなかったので、何もないところからチームを立ち上げるのは正直不安でした。

そのときに、今まで経験した2つのプロジェクトを思い返してみて、「アカツキは失敗してもそれを責める訳ではなく、チャレンジを奨励してくれる会社だ」と、「きっと新しいプロジェクトにも前向きに歩んでくださる方々がいる」と思えたんですよね。

また何よりもプロジェクトのIPが元々すごく好きだったということもあり、「IPの看板に絶対泥を塗りたくない」という想いがありました。好きだからこそ、バランス調整の必要性も感じてたんですよね。

それに、好きなIPのゲームをどういう風に見られるかというのを、僕が舵を取れると考えたらどっちかというと、不安よりもワクワクの方が勝ったので「新しいプロジェクトにいきます」と返事をしました。

──バランス検証チームではどういうことを行っているのか、またバランス検証をしていて大変だったことを教えてください。

バランス検証チームでは、プランナーさんと一緒にバトルの難易度やキャラクターの性能を考え、実際に使用してみて、強さや性能に問題がないか確認しています。

その後、みんなで出し合ったフィードバックを基に、「どうしたら良くなるだろう?」ということを、プランナーさんと議論しながら改善を重ね、適切な難易度に整えるということを主に行っています。

大変だったことはたくさんありますね(笑)

今でこそたくさんの仲間に恵まれましたが、最初はバランス検証チームは僕だけだったんですよね。

二週間後の他メンバーの参画まで、ひたすら準備を重ねましたが最初は上手くいかないことばかりでした。バトルを見るために必要なデータの準備ができていなかったり、プレイヤーの皆さんが使用する想定パーティが考えられてなかったり…。

プランナーさんと意見をすり合わせつつ、自分たちでも試行錯誤しながら、なんとかやっていった感じですね。

また、バランス検証チームの立ち上げ自体が、アカツキで初めての試みだったこともあって、周りから「このチームは一体なんなんだろう?」という感じでみられていたのかなと思います(笑)

具体的に何やっているのかとか、何を検証して担保するのか、みたいなところをプロジェクトの方々に認知してもらうのに、結構苦労しました。

あとバランス検証チームって、せっかく作ってもらったモノに対して、ネガティブなフィードバックを返さなければならないので、プランナーさんとの信頼関係がとても大事になるんですよね。

その人を糾弾しているわけではなく、「良いものを作りたいから、ネガティブなことを言っているんだ」ということが、お互いの信頼関係がないとちゃんと伝わらないと思っています。

ただ信頼関係を築くのは一朝一夕ではいかなかったので、時間かけて話し合いながら築いていきました。

──バランス検証において、一番難しいことはなんですか?

人にもよると思いますが、僕の場合は「このゲームはいろんな人が遊んでいるんだ」という前提の元、多角的な視点もってバランスを見るということだと思っています。

プレイヤーさんって、いろんな人がいるじゃないですか。「今日から始めました!」という人もいれば、「リリース初日からやってます」という人もいたり、毎日5時間遊んでいる人もいれば、気が向いた時にだけちょろっと触っていますみたいな人がいたり。

もちろん多くのプレイヤーの皆さんに楽しんでほしいという想いがあるので、1つの視点しかないと特定の人だけにしか楽しんでもらえないんですよね。

だから色んなタイプのプレイヤーさんを想像して、その人達になりきったつもりで、この施策を見たら「どう見えるんだろう?」ということを考えられるようになるまで、結構大変で人によっては、すごく苦労するところだと思います。

それに、プレイヤーの皆さんから不満が上がるときは視点が漏れてたときが多いです。

「このプレイヤーさんから、こういった懸念が出るかもしれない」という視点を、我々バランス検証チームが持てていたら、防げたかもしれないということは多々ありますね。

そういう時は、「我々に、こういった視点が持ててないね」ということを振り返って、今後ケアしていこうと気をつけてます。

──バランス検証チームのメンバーは、どのような方が多いのでしょう?

今いるメンバーは、みんな自分たちのプロジェクトが大好きで、ゲームをめちゃくちゃやり込んでいる人が多いですね。

入社するまでゲームをやったことがない人や、IPに詳しくない方もいました。

今では、みんなかなりのコアプレイヤーです。僕が少し心配になる時があるくらい、プライベートでがっつりプレイしてる人もいます。

──チームのほとんどの人がゲームをやり込むようになるのは、何か理由があるのでしょうか?

最初、プロジェクトに配属されたときに、「仕事を楽しんでほしい」ということをまず伝えてます。

あと、1ヶ月のトレーニング期間に業務のことをほぼ教えないで、業務時間中にずっとゲームをプレイしてもらっています(笑)

データや数字だけをみて出した意見だと全く意味がなくて、ちゃんと自分で遊んで「自分だったらこれがほしい」とか、「こういう人だったら、これいらないんじゃないかな」という想像や感情を持って検証しないと、的外れな結果が出ちゃうんですよね。

ただ、初めてやるゲームで、好きかどうかも分からないゲームを「プライベートな時間を使って遊んでください」というのは、かなり酷な話じゃないですか。

それを無理にやってもらうと、プロジェクトのことを嫌いになってしまうと思うんです。

ただゲームを遊んでもらうことは、キャッチアップとしてすごく大事なことだと思ってるので、「業務時間を使ってゲームをやっていいよ」と言ってます。

このトレーニング期間があるから、ゲームにハマってくれる人が多いのかなと思っています。

──バランス検証をしていて、やりがいや楽しさを感じるときを教えてください。

なんだかんだいって、喜んでくれているプレイヤーの皆さんの声を聞くのが、素直に一番嬉しいですね。

あーだこーだと、みんなが真剣に考えたことを世の中に出して、そこに対してプレイヤーさんが思った通りの反応をしてくださったときは、めちゃくちゃ励みになりますね。

もちろん「もっとこうした方がいい」というMoreな意見もありますが、それも「次、この人たちに喜んでもらおう」と頑張りにつながるんですよね。

あと、自分達が検証していたときに「ここの敵、めっちゃ強かったなぁ」という感想を持っていて、それを世に出した時に、プレイヤーさんが同じようなことを言ってくださっていると、すごく共感できるんですよね。

「すごい苦労してクリアした!」とか「この武器手に入って嬉しい!」とかをみて、「わかる〜!」って(笑)

プレイヤーの皆さんとの一体感が強くなるというか、そういった感情を持てるのって、バランス検証特有のものじゃないかなと思います。

──今後、片山さん自身がチャレンジしたいことを教えてください。

ちゃんとバランス検証チームが機能しているのが、今僕が所属しているプロジェクトだけなので、もっと他のプロジェクトに、バランス検証を流行らせていきたいと思っています。

あとバランス検証って、サービス終了を目前としているプロジェクトや、売り上げが立たないプロジェクトではなかなかできないので、贅沢な職種だと思っているんですよね。

要するに売れているゲームであればバランス検証ができるんですが、そうじゃなくて、バランス検証があるからこそ、売り上げが立って、長期にわたる運営が安定的にできるという風に、みんなの考え方を変えられたらいいなと思います。

アカツキにバランス検証を広げたいという想いもありますが、アカツキに触発されて世の中のゲームがもっと面白くなってくれればとも思っています(笑)

バランス検証をすることが当たり前になっていくと、ゲームのクオリティーは当然上がるので、1ゲーマーとして、楽しいゲームが世の中に溢れかえってくれると嬉しいですね。

なので、最終的にはアカツキの枠を飛び越えて、いろんなところに影響が出てくるようになってくれたらいいなと思います。

そう思うのも僕が、冒頭で前職ではゲームに対する偏見があったという話をしましたが、その解決に繋がるんじゃないかなと思っているんですよね。

世の中に面白いゲームが溢れて、ゲームのヒエラルキーがどんどん上がったら、「大人がゲームなんかして」じゃなくて、「大人もゲームするのが当たり前」の世界になると思うんです。

それが地方でも、世界中のどこでもそういう風になったら、僕みたいにゲームのことを隠して生きていかなければいけない人達が減ってくれるんじゃないかなと思います。

だから、バランス検証から世の中のゲームがもっと面白くなれ!と思っています(笑)

──最後に、CAPSへの想いを教えてください。

めちゃくちゃCAPS好きですよ(笑)

僕のゲーム業界のスタートが、普通のデバッガーじゃなくてアカツキのCAPSで良かったなと思います。

アカツキのCAPSの考え方とかマインドだったり、文化というのは僕にとって、めちゃくちゃ居心地いいし、僕自身もそうありたいなと思えることがいっぱいあるんですよね。

僕のスタートがCAPSだったからこそ、バランス検証に対する考え方とか、プランナー経験とかも自分がいい方向に捉えられているのかなと思います。

自分の考え方や居場所を作ってくれたという意味で、月並みですが、すごくCAPSが好きですね。


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